長崎の旅 |
ある夏のこと,8月6日の朝を広島平和公園で迎えたくなっていそいそと身支度を整えた。小さなギターを車に積んで家を出た。 着いたのはドーム前。あたりは平和を願う人たちで埋め尽くされていた。またジーンズとサングラス,それにPOLICEと書いてあるキャップをかぶった私服の警察官がたくさんいた。話を聞いたり署名したり,持ってきたギターをかき鳴らしたり。 その時ふと思った。いろんな音や声が聞こえるけど,一番うるさいのはセミだった。 そうだ,1945年8月6日の朝,このセミすらも大地に鎮んでしまったのだ。そう思うとさっきまでうるさいと思っていたセミの鳴き声が無性にいとおしくなった。 まてよ,同じ原爆を投下された長崎はどうなのか?最悪の地上戦を経験した沖縄はどうなのか。私は確かめたくなった。その年の内に沖縄を訪問できた。読谷村にある座喜味城跡の坂を登りながら,一風変わったセミの鳴き声を確かめた。ああよかった。ここでも彼らはよみがえったのだ。 そして最後に訪れたのが長崎だった。 夕暮れの浦上天主堂付近を歩いた。通りがかりの電柱にツクツクホウシの姿を見つけた。耳をすませると,ゆっくりとなき始めた。 セミの鳴き声を確かめながら平和記念像を横切りホテルへ向かった。 |
浦上天主堂 浦上の丘で見つけたセミ
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1日目 長崎IC → 諫早湾 → 岡まさはる記念館 → 爆心地公園 → 浦上天主堂 → 中華街 → ホテル(シップビクトリア) 2日目 ホテル → 長崎湾遊覧(長崎造船ドック・有明海・軍艦島など) → 大村湾 → 佐世保 → 九十九島 → 佐世保IC |