ビジネス情報掲載 平成15年6月20日号
工務店の技あり施工G 山栄建設

湿気に対する“技あり施工”


伝統的な日本の住まいは、さまざまなところに湿気への
工夫があった。しかし、最近の住宅は湿気の問題を抱え
込んでいる。建物は腐りやすくなり、カビやダニの発生
はアトピーやアレルギーを引き起こした。

高気密高断熱住宅だけではなく、独自の工法で室内はも
とより土台や柱、梁などの構造材の周りまで空気を流し
湿気に対する工夫をこらした山栄建設の家について
一級建築士・下垣内美幸さんに《工務店の技あり施工》
を聞いた。

■夏も結露するそうですね。

「日本の夏は蒸暑季候といわれ、水蒸気をたっぷり含ん
だ高温の外気です。最近の住宅は湿気を十分排出できな
いのです。“露点温度”は、梅雨時期で十七度前後、盛
夏時で二十二度前後。外気がこの温度以下のものに触れ
ると夏でも結露が発生します。床下の地面の温度は夏の
空気の露点温度以下になっています。昔の家は床下の換
気がじゅうぶんにできていて土がサラッと乾いていまし
たが、コンクリートの基礎になってからは換気量の不足
から床下が湿気て柱も傷んでしまうようになりました」



■基礎にある換気口で十分に換気ができると思いますが

「換気口という言葉にだまされてはいけません。『換気
とは必要な時に必要な量の空気を入れ替える』ことをい
います。また、土台にすき間をつくり換気させるという
工法も、外壁に水切りがあるので風の侵入を阻みます。
実は基礎の換気口が床下を湿気させる原因なのです。外
気の水蒸気が自由に温度の低い床下に侵入して湿度を高
め、木材を傷めます。たとえば、外気が温度22℃、湿
度60%の過ごしやすい季候の時でも、床下では温度
17℃、湿度82%にもなっています。梅雨・盛夏はも
ちろん、もっと湿度が高くなる場合は土が結露します」



■木材を傷めるのがわかっているから、最初から防腐剤やシロア
リ駆除剤を施工するのですね。 山栄建設では、その問題をどう
解決していますか。

「基礎には換気口を設けません。完全に建物の中と外とを分けて
います。そして、一時間に6畳間8杯分の新鮮な空気を24時間、
機械で強制的に床下に送り込んでいます。これが本来の換気
です。もちろん柱は常に乾燥した状態を保つので防腐剤やシロ
アリ駆除剤は使っていません。さらに、エアコンのドライ運転で
室内だけでなく、床下、壁の中まで湿度を調整することができま
す。昨夏当社のFB工法の家と在来工法の家とで、カビセンサー
と温度、湿度計で測定したデータがあります山栄建設のHPにあ
『カビ指数計測結果』がそうです。次回はこれについてお話し
ます。


連絡先 山栄建設(株) 
福山市御幸町1144−3
電話 0849−55−7700

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