工務店の技あり施工J
山栄建設
高断熱高気密住宅の実際(1)
年中快適に過ごせて省エネという高断熱高気密住宅。
ここ備後地方でも建築戸数は徐々に増えています。
しかし、言葉はよく聞くのですが、一般ユーザーにはまだまだ情報不足。
工法の呼び名もたくさんありすぎて、調整しきれないのが現状です。
そこで、、山栄建設の一級建築士下垣内美幸さんに高断熱高気密住宅について解説していただきます。
◇高断熱・高気密住宅とは、ただ単に断熱性と気密性を高めた住宅のことですか?
いいえ、これだけでは安心できる高断熱高気密住宅とは言えません。
この建物は、健康で、快適で、省エネで耐久性がある住まいを目的としています。
建物を高断熱化、高気密化するのは、あくまでそのための手段にしか過ぎません。
高断熱高気密住宅には、大切な四つの要素があるのです。
それは、高断熱化、高気密化、そして全館暖房と計画換気です。
この四つの要素をきちんとンバランスよく設計・施工することによって初めて本当の高気密・高断熱住宅になるのです。
■四つの要素のうち一つでも欠けるとどうなるのですか
高断熱化、高気密化には全館暖房と計画換気が必要だとわかるまで試行錯誤があり、実は多くの
家が犠牲になっていきました。北海道では内部結露による事故が起きました。昭和50年のナミダダケ
事件がそうです。断熱の施工が不完全だったので室内の暖まった空気がすき間から壁の中に入り、
低温部で結露して断熱材のグラスウールがぐしょぐしょになり、キノコが発生しました。それだけでなく
木が腐って壁や床が抜けてきたのです。それが新築して3〜7年の家ですよ。よかれと思ってしたこと
でも、方法を間違えると悪い結果を招いてしまいます。北海道には、このナミダダケ事件のときに同じ
ように建てられた住宅が、まだ数十万戸あると言われています。
■その失敗の教訓をいかして、同じ過ちを繰り返さないことが大切ですね。
高断熱・高気密でありながら、大切な4つの要素がおろそかにされていたり、基礎に換気口を設けた
工法がたくさんあります。床の裏で断熱をしていると言っていますが、パーフェクトな断熱・気密がなさ
れるか心配です。もっとも、換気口で断熱も気密も途切れてしまっているので、そこから水蒸気が移動
します。山栄建設の家「FB工法」は、基礎に換気口がありません。床下に置かれた暖房機が、床下の
コンクリートや壁の中の構造体に熱を蓄えます。床下、壁の中、天井裏の温度が、室温より高くなって
います。冷えたビールのグラスには結露するのに、暖かいお茶は湯飲みに結露しないように、暖かい
床下、壁の中に向かっての水蒸気の移動は起こりません。さらに、1時間に150立方メートルもの空気
を床下に排出し、壁の中を通して室内に入れていきます。
一番大切なものは、床下、壁の中など見えないところの湿気を管理することです。本州は梅雨のない
北海道より、高温・多湿だということを忘れないでください。
(次号に続く)
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