THE STORM

▼THE STORM
●Gregg Rolie(key,vo)
●Kevin Chalfant(lead vo)
●Josh Ramos(g)
●Ross Valory(b)
●Steve Smith(dr)

Produced & Mixed by Beau Hill

The Stormは、Gregg Rolieを中心に、元ジャーニーのメンバー3人を含む、まさにスーパーバンドといった色合いでスタートし、そのサウンドは本家ジャーニーに勝るとも劣らない素晴らしいものであった。アメリカン・ハードロックの王道とも言えるスリリングかつメロディアスなサウンドは多くのロックファンを充分納得させたことだろう。アグレッシブなK.Chalfantのハイトーンボイスに、Greggのミステリアスなボーカルが絡み、J.Ramosのツボを押さえたギターも魅力だ。何かとS.Perryと比較されたKevinではあったがこういったタイプのサウンドには必要不可欠なボイスなのだ。おそらくGreggはそのことを誰よりも分かっていると思う。彼らが目指したサウンドは決してJourneyの影ではない。それ以上にゴージャスでメリハリの利いたアメリカンハードロックだったのだ。全てを通して聴いても決して飽きることはない、その魅力の秘密はKevinとGreggのツイン・ボーカルにある。ここのところが現在のJourneyと決定的に違うところだろう。もちろん鉄壁のリズムセクション、Journey黄金時代を支えたR.VarolyとS.Smithのコンビネーションもさすがである。個人的にはもう少しGreggのキーボードソロを聴かせて欲しかったところだが、彼は「音の壁を創る」事に徹しており、常にサウンドのバランスに気を遣っているようだ。日本ではセールス的には今ひとつだったようだが、これだけ完成度の高い作品は数少ない。ロックアルバムの名作の一つとしてチャンスがあれば是非とも聴いていただきたい。(1991)

▼THE STORM/EYE OF THE STORM
●Gregg Rolie(key,vo)
●Kevin Chalfant(lead vo)
●Josh Ramos(g)
●Ross Valory(b)
●Ron Wikso(dr)

Produced by Nigel Green,The Storm & Bob Marlette

レコーディングは92年の頃と思われるが、諸事情により発売されたのは95年(日本版は97年)になってからだった。内容はファーストアルバムと大きく変わることはないが、バラード系の楽曲が充実しているだろうか。メンバーに関しては、S.Smithが自信のセッション活動が多忙であるため離脱、代わってR.Wiksoが加入。安定したドラミング、サウンドそのものに不安はない。このアルバムもまた、素晴らしい仕上がりをみせ、Kevinものびのびと歌っており、このバンドのフロントマンとして確固たる自信がうかがえる。だが、この時期にすでにバンドとしての活動は停止していたようで、GreggはABRAXAS POOLを立ち上げて、自身のルーツとも言えるSANTANサウンドへの回帰を試みたり、3枚目のソロアルバム「Rough Tracks」を発表。その後、結局Greggは参加しなかったもののRossはJourney再結成に参加。現時点でTHE STORMとしての活動は完全に休止している。メンバーは個々で活動を続けており、巷では「STORM3」とまで言わしめた(?)KevinとJoshのプロジェクト「TWOFIRES」が唯一STORMサウンドを継承している。(1995)