The Stormは、Gregg Rolieを中心に、元ジャーニーのメンバー3人を含む、まさにスーパーバンドといった色合いでスタートし、そのサウンドは本家ジャーニーに勝るとも劣らない素晴らしいものであった。アメリカン・ハードロックの王道とも言えるスリリングかつメロディアスなサウンドは多くのロックファンを充分納得させたことだろう。アグレッシブなK.Chalfantのハイトーンボイスに、Greggのミステリアスなボーカルが絡み、J.Ramosのツボを押さえたギターも魅力だ。何かとS.Perryと比較されたKevinではあったがこういったタイプのサウンドには必要不可欠なボイスなのだ。おそらくGreggはそのことを誰よりも分かっていると思う。彼らが目指したサウンドは決してJourneyの影ではない。それ以上にゴージャスでメリハリの利いたアメリカンハードロックだったのだ。全てを通して聴いても決して飽きることはない、その魅力の秘密はKevinとGreggのツイン・ボーカルにある。ここのところが現在のJourneyと決定的に違うところだろう。もちろん鉄壁のリズムセクション、Journey黄金時代を支えたR.VarolyとS.Smithのコンビネーションもさすがである。個人的にはもう少しGreggのキーボードソロを聴かせて欲しかったところだが、彼は「音の壁を創る」事に徹しており、常にサウンドのバランスに気を遣っているようだ。日本ではセールス的には今ひとつだったようだが、これだけ完成度の高い作品は数少ない。ロックアルバムの名作の一つとしてチャンスがあれば是非とも聴いていただきたい。(1991)